どうしたの?😊あぁーそれはね!
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ショートストーリー
サユリの大ピンチ!
『どうしたの?😊あぁーそれはね!』
塾の教室には、帰宅する生徒たちのざわめきが残っていた。
外はすっかり暗くなり、窓の向こうには街灯の明かりがぼんやりと映っている。おそらく、外は冷たい風が吹いているのだろう。
サユリは帰る準備を進めながら、コートのボタンを留めていた。ふと見渡すと、クラスの生徒たちは次々と帰宅していき、教室にはちらほらと数人が残っている。先生に質問をしている子、友達とおしゃべりをしている子、それぞれが授業後の時間を過ごしていた。
「サユリちゃん!」
声をかけられ、振り向くと、ユイカがノートを持って近づいてきた。
「この問題、教えてほしいんだけど…」
サユリはコートの襟を直しながら、ユイカの机の隣にしゃがみ込んだ。
「ここは式を書く前に、まずこう考えるといいよ。」
要点を押さえた説明をしながら、サユリは図をいくつか書き加えた。ユイカがそれをじっと見つめ、はっとしたように顔を上げる。
「あっ、そっか!」
問題がつながったのか、ユイカの表情が明るくなった。サユリは静かに頷き、ノートをユイカの方へ返す。
ユイカはノートを握りしめながら、ちらりとサユリの顔を見た。先生の話をしっかり聞いて、授業中も集中してノートをとる。小テストも毎回すぐに解き終えて、余った時間は見直しをしている。 サユリはいつもそうだ。周りがざわついていても、自分のやるべきことをきちんとこなす。
(こんなふうに勉強できたらなぁ…)
ユイカはそう思いながら、自然と口をついて出た。
「やっぱりサユリちゃんってすごいなぁ。」
ぽつりとつぶやいたユイカの声に、サユリは小さく微笑んだ。
そのとき、教室の後ろから笑い声が聞こえてきた。男子たちが何かを囲んで、楽しそうに盛り上がっている。
「なになに?」
サユリが首をかしげる。ユイカも気になって、二人で様子を見に行った。
教室の後ろの壁には、先生の似顔絵がセロハンテープで貼られていた。誇張された特徴が妙にリアルで、ユーモラスなタッチで描かれている。男子たちはそれを見て大笑いしていた。
「めっちゃ似てる!」
「これだれが描いたんだろ?」
「先生、これ見たら怒るかな?」
サユリの顔から、さっと血の気が引いた。
それは、今日の授業中に彼女が落書きしていたものだった。
小テストを解き終わったあと、時間が余ってしまい、ふとプリントの裏にペンを走らせた。何気なく描いていただけだったのに、気が付かないうちに机からプリントを落としてしまったらしい。
(……だから、ないんだ。)
カバンの中を探しても、さっきまで机にあったはずのプリントが見当たらなかったのはそのせいだった。
どうやら誰かが拾って壁に貼ったらしい。
しかも、裏返せばそこには、しっかりと自分の名前が書かれた答案がついているはずだ。
焦るサユリ。でも、もう正直に言ってしまおうと決心した。
「それ…」
しかし、その瞬間、隣のユイカがぽつりと呟いた。
「だれだろう…? 授業をマジメに聞かずに、あんなの描いてたのかな…?」
サユリは言葉をのみこんだ。
(…どうしよう…言えない。)
一瞬、ためらってから、意を決して前に出る。
「もう、だれよ!? こんなことしたのは!」
サユリはそう叫ぶと、わざと大げさに肩をすくめ、ため息をつく。
「こんなの描いてるヒマがあったら、もっと勉強すればいいのに!」
男子たちは「うわ、やっぱりサユリはマジメだなー」と笑いながら、それでもあっさりと帰り支度を始めた。
「つまんないのー。せっかくオモシロイのに。」
「やっぱ天才はちがうねー。」
軽く冗談を言い合いながら、男子たちは荷物を持ち、次々と教室を出ていく。
サユリは、誰もいなくなったのを確認してから、壁の紙をそっと剥がした。裏返さないように慎重に丸め、ポケットに押し込む。
「ふぅ…」
緊張の糸がほどけ、ようやく息をついた。
ユイカも帰り支度を終え、サユリの隣に並んだ。
「サユリちゃん、さすがだね! みんなすぐにふざけるんだから…。」
明るく言われて、サユリは一瞬、言葉に詰まる。
「……うん。」
ポケットの中の紙が、なんだかずっしりと重く感じた。
もう、二度と授業中に落書きなんかしない…と、決意するサユリ。
外は冷たい夜風が吹いていたが、サユリの胸の奥はほんのり熱かった。
プロフィール
📝 名前:サユリ(紗友里)
🎂 年齢:10歳(小学4年生)
📏 身長:135cm
🎨 外見:黒髪のロングヘア、前髪はぱっつん気味。大きな黒い瞳が特徴。寒い日はふわふわのファー付きコートを愛用。
🏫 学校・塾:私立小学校に通いながら進学塾にも通っている。成績はクラス上位。
📚 得意科目:算数(論理的に考えるのが得意)、国語(読解問題が好き)
📖 苦手科目:体育(運動はあまり得意ではない)、図工(絵を描くのは好きだけど、立体工作は苦手)
👓 性格:真面目で努力家。先生の話をしっかり聞き、ノートも整理されている。クラスメイトからは「しっかり者」と思われがちだが、実はちょっとお茶目な一面もある。
💡 秘密:授業中にこっそり落書きをすることがある。絵を描くのが意外と好き。
🍞 好きなもの:ホットミルク、クリームパン、読書(ミステリー系が好き)
🥦 嫌いなもの:ピーマン、辛い食べ物、突然のテスト
🎀 趣味:小説を読むこと、こっそりイラストを描くこと
🐾 好きな動物:猫(飼いたいけど親に反対されている)
🎶 口癖:「なるほど」「うーん、考えよう」
💭 将来の夢:本をたくさん読む仕事がしたい(まだ明確には決まっていない)
サユリからのメッセージ
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