やったぁ😁つもってる!
ショートストーリー
すみれと白い庭
『やったぁ😁つもってる!』
昨夜から降り始めた雪が、朝の光を受けてキラキラと輝いている。広い庭も白い絨毯を敷いたようにうっすらと雪化粧。すみれは目を覚ますなり、窓の外の景色に目を輝かせた。
「やったぁ!つもってる!」
小学校の制服に着替え、リボンもきちんと結んで準備は完璧。でも、心はすでに庭の雪へと飛び出していた。絵本やテレビで見た、大きな雪だるまを作って、かまくらの中でお餅を焼く――そんな夢が頭の中で膨らんでいる。
「すみれ、そろそろ出発するよ!車出してるからね!」
お母さんの声が外から響く。すみれは廊下を歩く足を止めて、庭の景色をちらりと振り返った。「やっぱり、ちょっとだけなら……」と小さくつぶやき、いたずらっぽく笑うと、制服のまま、ブーツを履いて庭に飛び出した。ふわふわの雪の上を歩くたび、足元がキュッ、キュッと鳴る。その音だけで楽しくて、思わず小さな雪玉を作って投げてみる。
「よーし、大きなゆきだるま作るぞ!かまくらも作っちゃおう!」
しかし、いざ雪をかき集めてみると、思ったよりも雪は少なく、固めようとしてもふわふわでうまくまとまらない。かまくらどころか、雪だるまの頭すら作れそうにない。それでもすみれは必死に雪を押し固めようとした。
そのとき――ツルッ!
足元が滑り、すみれは勢いよく尻もちをついてしまった。制服はびしょびしょになり、ブーツの中にも冷たい雪が入り込んでしまう。慌てて立ち上がったところで、玄関からお母さんの声が響いた。
「すみれ!早くしないと遅れるよ!って、なにその姿!?」
すみれは慌てて家に戻ると、おじいちゃんが新聞を読みながらにこやかに一言。
「昔はもっと雪が積もって、庭でかまくらも作れたもんだ。でも、今日はこの程度じゃ無理だなあ。」
がっくり肩を落とすすみれ。お母さんは呆れ顔で制服の替えを取りに行きながら、ポツリとつぶやいた。
「だから言ったでしょ… 早くおいでって。でもまあ、雪遊びは楽しかった?」
濡れた制服を見下ろしながら、すみれは少し涙目。それでも、ほっぺたをふくらませてぽつりとつぶやく。
「……やっぱり、ゆきってつめたいね……でも、もうちょっとだけあそびたかったな」
急いで着替え直し、遅刻ギリギリで車に乗り込んだすみれ。窓の外に広がる雪景色を眺めながら、心の中でそっとつぶやく。
「かえってきたら、またゆきだるま作ろうかな…小さいやつ…」
プロフィール
名前: すみれ(純玲)
年齢: 7歳(小学1年生)
家族構成: お母さん(しっかり者で優しい)、おじいちゃん(穏やかでおおらか)、お父さん(仕事で家を空けがち)
学校: 地元の私立小学校。お母さんの運転する自家用車で通学。
性格:
無邪気で好奇心旺盛。雪を見ただけでワクワクしてしまう行動派。思い立ったらすぐ行動してしまい、「ちょっとだけなら!」が口ぐせ。おしゃべり好きで、おじいちゃんにたくさん質問するのが日課。お母さんに叱られてもへこたれず、どこか憎めない可愛さを持つ。
好きなこと:
絵本やテレビで見たものに憧れること。最近、雪の中で遊ぶ子どもたちや、大きな雪だるま、かまくらのシーンをテレビで見て心をときめかせる。実際にはまだ雪遊びの経験は少ないけれど、自分も同じことをしてみたいと強く夢見ていた。
苦手なこと:
じっとしていることが苦手。お母さんに「待っててね」と言われても、ついソワソワしてしまう。お着替えも面倒くさがる傾向があり、制服を汚してはお母さんに叱られる。急かされるとムッとするが、結局あわてて行動する。
口ぐせ:
「ちょっとだけ なら!」
「よーし、やってみよう!」
「もうちょっとだけ、いいでしょ?」
すみれからのメッセージ
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