遅いよ〜😊もう帰ろうかと思ったよ
ショートストーリー
詩音と冬の一輪の花
『遅いよ〜😊もう帰ろうかと思ったよ』
冷たい風が吹く冬の公園。詩音(しおん)は木々に囲まれた道のベンチに腰掛け、少し寂しげに靴のつま先を眺めていた。時計の針は約束の時間を過ぎているけれど、友達の姿はどこにも見当たらない。
「遅いなぁ…」
呟いて立ち上がり、暇つぶしに周りを歩き始める。すると足元に咲く小さな赤い花が目に入った。冬なのにこんな色鮮やかな花が咲いているなんて不思議だなと思い、しゃがみこんでじっと見つめる。
「寒いのにがんばって咲いてるんだね…。」
詩音は苦笑いを浮かべた。待っている間、ずっと寒さに耐えながらここにいる自分と、けなげに咲く花が重なったのだ。
そのとき、遠くから小さな足音が聞こえてきた。振り向くと、息を切らしながら走ってくる友達の姿。顔を真っ赤にして、急いで駆けつけた陽介の額には小さな汗が光っていた。
「ごめん!寝坊しちゃって…急いできたんだ!」
陽介は少し息を整えながら詩音に謝る。
詩音は赤い花のほうにちらっと目を向けてから、腕を組み、軽くむくれた表情を作った。
「遅いよ〜!もう帰っちゃおうかなって思ったんだからね!」
だけど、すぐに陽介の頑張った様子が目に入ると、つい笑みがこぼれる。
「まあ、走ってきたなら許してあげるよ。でも、もう絶対遅れないでね!」
詩音はその場にしゃがみ込み、赤い花をそっと指差した。
「見て、この花。冬なのに一人ぼっちで咲いてるんだよ。待ってる間、私と一緒だな…って見てたんだ。」
陽介は赤い花に目を向け、不思議そうに頭を傾げる。
「え…でも、詩音はこんなにかわいくないでしょ?」
「えっ⁉️なにそれ!」詩音は思わず立ち上がり、陽介の肩を軽く叩いた。「もう、せっかく許してあげようと思ったのに!」
2人の笑い声が冬の冷たい空気の中に溶けていく。
赤い花のそばで、詩音の頬は少しだけ紅くなっていた。
プロフィール
名前: 詩音(しおん)
年齢: 11歳(小学5年生)
性格: 明るくて元気だが、ちょっとおせっかいな一面もある。面倒見が良く、友達の中では「お姉さん」的存在。純粋で感受性が豊かで、何かを見たり感じたりすると、すぐに自分の考えを口にするタイプ。寂しがり屋なところもあり、友達と一緒にいるのが好き。
見た目: セミロングで、毛先は少し跳ねている。時々、サイドをヘアピンで留めるのが定番。身長は平均的(140cmくらい)。笑うと少しえくぼができ、大きな瞳が印象的。服装はカジュアルで動きやすい服を好み、淡い色のパーカーやジーンズをよく着ている。
趣味: 公園や自然の中を散歩すること。ノートに気づいたことや思ったことを絵や言葉で書くこと。小さな探検家気分で虫や花を観察するのも好き。友達とおしゃべりしながらお菓子を食べることが何より楽しい時間。
特技: 絵を描くのが得意で、学校では「イラスト係」を任されることもある。細かい作業が好きで、折り紙やクラフトも得意。足が速く毎年リレーの選手に選べれている。
好きなもの: 冬の空気の冷たさや澄んだ青空。あたたかいココア。小さな花や自然の風景。
嫌いなもの: 待たされること(でも友達が一生懸命なら許してしまう)。辛い食べ物。ホラー映画や怖い話(夜眠れなくなるので苦手)。
家族構成: 父、母、2歳上の姉(中学生)。父は優しくて頼りがいのある性格で、休日には一緒に公園でキャッチボールをすることもある。母は明るくおおらかで、詩音の良き理解者。学校の出来事をよく聞いてくれる。姉は勉強や部活に忙しいけれど、詩音にとっては憧れの存在で、「もっと背が伸びたらおしゃれを教えてあげる」と約束している。
友達の中でのポジション: クラスではムードメーカー的存在で、自然と友達が集まるタイプ。男の子とも気軽に話せるため、陽介とも自然体で付き合える。ただし、繊細な面もあるため、ひとりぼっちになるのが怖い。
詩音からのメッセージ
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